文章で長い線『――』を見かけたことがあるでしょうか。
この長い線は『ダッシュ』という読み方であり、文章にあらゆる効果をもたらす記号です。
今回は、この『ダッシュ』について解説します。
ダッシュの打ち方
『ダッシュ』とは、『――』と表記される記号です。
その記号の形から『棒ダッシュ』という言い方もしますね。
『ダッシュ』は『―』ではなく、連続で『――』と書くのが正しい打ち方です。
使い方や効果は?
『ダッシュ』の使い方は、少し『三点リーダー』に似ています。
『三点リーダー』も『ダッシュ』も、文章のつなぎ、文章の引用で使うことができる記号だからです。
他にも、余韻を残す効果も似ているといえるでしょう。
しかし、『ダッシュ』でしか表現できない効果もあります。
それは、『ダッシュ』の記号を入れることで文章を切ることができます。これにより、テンポの良い文章を作り出すことが可能となります。
実際にどういう効果があるのか、例文に沿って『ダッシュ』の使い方と効果を解説していきます。
記号ダッシュのルールが分かる例文
ダッシュ『――』の記号のルールも同時に分かる例文を紹介していきます。
まずは、『三点リーダー』と同じ効果の例文です。
例
「少年よ、大志を抱け」 ――ウィリアム・スミス・クラーク
これは引用で使った『ダッシュ』ですね。これを『三点リーダー』に変えても問題ありません。引用の場合は意味というよりも記号で使っていますので、どちらでも印象は同じというわけです。
続いては、間(時間)を作るときに使う『ダッシュ』です。
例
「――そういうことか」
文章の前に『ダッシュ』の記号を使うことで、話者が考えているような印象を与えることができますね。
もちろん、『三点リーダー』を使っても間を作ることができます。
例
「……そういうことか」
確かに、使い方も意味も同じです。ですが、比べて見ると印象が少し違いますね。『三点リーダー』を使った場合は、時間の経過が緩やかに感じます。
一方、『ダッシュ』を用いた文章だとひらめいた印象を受けます。これが『ダッシュ』の効果といえるでしょう。
『ダッシュ』とは言葉どおり、文章のテンポを早めることができます。
例
ドアを開けようとしたとき――。
「なっ、あんたは――」
喋る前に、その口は塞がれた。
このように、『ダッシュ』は文章を切ることができます。文章を切ることで、最初の人物が行動する前に他の人物が動いているような表現ができます。
そのため、文章のテンポが早くなり、スピーディなシーンを演出することができます。
ただし、あまり多用し過ぎると説明不足になりやすいため、読み手に意味が通じなくなる可能性もあるので注意が必要です。
では、最後に説明を補足する『ダッシュ』の使い方を紹介します。
例
「雨が降っている――あの日と同じだ」
この文章は、雨を眺めている話者が『あの日』の光景を思い出している内容です。
読み手からすれば、この人物が雨についてどう思っているのか分からないため、このように『ダッシュ』を使って説明する必要があるのです。
『ダッシュ』を使わずに説明文を挿入することもできますが、それだと流れが悪くなります。
『ダッシュ』の記号を入れることで、文章の流れをスムーズにすることができるのです。
まとめ
『ダッシュ』の正しい打ち方は、『――』です。
『ダッシュ』の記号には、文章を走らせる効果があります。
そのおかげで文章のテンポが早くなり、読みやすい文章を表現することができます。
しかし、多用し過ぎると説明不足になりやすいので、適度な『ダッシュ』を心がけましょう。
『ダッシュ』がもっとも活きてくる使い方は、大きく分けて二つです。
- 『文章を切る』
- 『文章を説明する』
この二つを上手く使いこなすだけで、文章はグッと良くなります。