正しいかどうか分からないのに、とりあえず使ってしまっている日本語は多いと思います。

 

『熱に浮かされる』『熱にうなされる』という言葉も、そんな日本語といえるでしょう。

 

どちらが正しい日本語なのか、解説していきます。

 

熱に浮かされるの意味や使い方

『熱に浮かされる』とは、病気で高熱となり、その辛さからうわ言を口にする様子を表した言葉です。

 

多くの人は風邪を引いた患者にしか使っていないようですが、実は他にも使い方が存在します。

 

それは、のぼせ上ってしまい、周りが見えなくなってしまう様子を指す意味としても使うことができます。

 

つまり、恋煩いのような状態に対しても使って良い表現が『熱に浮かされる』となります。

 

熱に浮かされるの例文

『熱に浮かされる』について、例文を使って詳しく解説していきます。

 

 

例文

お見舞いにやってくると、祖父は熱に浮かされていた。

 

 

お年寄りは免疫力が弱ってしまうため、風邪を引くだけでも寝込んでしまいます。

 

そのため、『熱に浮かされる』のはよくあることです。

 

病人の状態を表すときに『熱に浮かされる』を使うのは、適切な表現方法といえるでしょう。

 

 

例文

彼女は先輩を前にすると、熱に浮かされたような表情になってしまう。

 

 

青春にはよくありがちなシーンですよね。

 

恋愛で気持ちが浮ついている人物に『熱に浮かされる』と使えば、その人物の状態をありありと表現することができます。

 

熱に浮かされる?熱にうなされる?どちらが正しい?

では、ここで本題に入りたいと思います。

 

『熱に浮かされる』という言葉は、病気の他に恋煩いも含む言葉となります。

 

それを考慮して『熱にうなされる』を確認すると、病気の表現に関しては類語のくくりにしても良いと思います。

 

何故なら、『うなされる』という言葉には、辛さや恐怖のイメージを与えることができるからです。

 

ところが、『うなされる』だと恋煩いの意味とは結び付きません。

 

つまり、『熱にうなされる』では『熱に浮かされる』の使い方ができないわけです。

 

ここまで説明すればもう分かると思いますが、正しい日本語は『熱に浮かされる』という使い方になります。

 

ただ、『熱にうなされる』は使いやすさからか、世間では浸透している言葉となっています。

 

一時は『熱に浮かされる』よりも使われていた時期もあり、『熱にうなされる』で意味が通ってしまうのが現状のようです。

 

ただし、恋煩いについては利用できないこともあるため、文章として書き出すのなら『熱に浮かされる』と使ったほうが良いでしょう。

 

熱に冒されるという類語?

実は、『熱にうなされる』の他に『熱に冒される』という類語も登場しています。

 

言葉の意味だけで考えれば、『熱に冒される』ように体を巡っていく状態のようです。

 

これなら、『熱にうなされる』より『熱に浮かされる』の意味に近しいといえるかもしれません。

 

ただ、恋煩いに対して『冒される』という表現方法は少し強すぎる気がします。

 

これだと、ピュアな恋愛には当てはめることができないでしょう。

 

それなら、気持ちが上がってしまう『浮かされる』という言葉のほうが適切なのです。

 

『熱にうなされる』や『熱に冒される』では、やはり『熱に浮かされる』の意味には完全に一致しないようです。

 

まとめ

『熱に浮かされる』の類語や言い回しとして、『熱にうなされる』『熱に冒される』という表現方法もあります。

 

ただ、『熱に浮かされる』という言葉は、病気による発熱の他に恋煩いの状態も指しますので、『うなされる』や『冒される』では表現しきれないのです。

 

そのため、正しい日本語は『熱に浮かされる』となります。

 

しかし、『熱にうなされる』という言葉は、世間でも通用する表現となっていますので、会話の中で使う分には意味が通じるようです。