文章でよく見かける『列挙する』『列挙いたします』『列挙しなさい』……。

 

実は、同じような類語として『羅列』や『列記』という言葉もあります。

 

それぞれの違いや意味はなんなのか、例文を使って解説していきます。

 

『列挙する』の意味とは?

まずは、『列挙する』の意味を知らなければ、使い方や類語の違いを知ることはできません。

 

『列挙』とは、一つ一つを数え挙げること。もしくは、並べ立てることを指す言葉です。

 

つまり、『列挙する』という意味は、一つ一つを数えて並べ立てた状態を指します。

 

『列挙いたします』なら、「今から並び立てます」ということですし、『列挙しなさい』なら「今から並び立てなさい」という意味になります。

 

羅列との違い

『列挙』の類語として挙げられるのが『羅列』です。

 

『羅列』は『列挙』のように並べる意味を持つ言葉ですが、並べ方に違いがあります。

 

『羅列』の場合、そこに無作為が生まれます。つまり、並べるときに法則性のようなものがない状態を『羅列』と言います。

 

『列挙』の場合は、並べられた順番に法則性が存在しているため、乱雑に並べられたものに対しては使うことができないのです。

 

列記との違い

『列記』のほうが『列挙』と近しい意味を持つため、間違いやすい類語でしょう。

 

『列記』は、一つ一つを書き記すときに使う言葉です。

 

そのため、『列挙』とほとんど意味は変わりません。

 

ただ、『列記』の場合は『記す』という言葉を使っているため、箇条書きのようなスタイルにしか利用できません。

 

『列挙』なら、モノに対しても使うことができるため、『並び立てる』ことを広い意味で使うことができるのです。

 

列挙の使い方を例文で解説

それでは、『列挙』の使い方を例文で解説していきます。

 

『列記』と『羅列』の何が違うのかも一緒に紹介していきます。

 

 

例文

玩具のパーツが種類ごとに列挙されている。

 

 

これは正しい例文です。この例文だけでは玩具のパーツを作っている話なのか、趣味で集めているのかは定かではありませんが、複数の種類が間違わないように並んでいるため、法則が生まれています。

 

よって、この場合は『列挙』の使い方が正しいのです。

 

 

例文

仁志は、夢だった教師になることができた。明日は、受け持つ生徒たちと対面する大切な日。名前を間違わないように、リストどおりに羅列された名簿を何度も見直した。

 

 

彼が国語の教師でないことを祈るばかりですね。

 

この場合は『羅列』ではなく、『列記』です。

 

名簿は出席番号で書かれており、法則性が存在します。

 

さらに、名簿はリストとして書かれているため、『列記』の使い方が適切でしょう。

 

 

例文

職場に到着すると、すでに業者が荷物を届けてくれていた。

 

中身を確認すると、返品されてきた商品が列挙されており、まずは動くものを探すところから始めなくてはならない。

 

 

新品を自宅に届けるなら『列挙』でも良さそうですが、返品だと箱に詰めることだけが目的として入っています。

 

そのため、この場合は『羅列』の使い方が正しいといえます。

 

まとめ

『列挙』の意味は、法則に沿って並べ立てることです。

 

逆に、『羅列』は無作為に並べるときに使います。

 

リストの箇条書きとして並べるのであれば、『列記』が正しい使い方となります。

 

それぞれ『列挙』の類語ではありますが、少しずつ意味が違ってきますので、ぜひ正しい言葉を覚えておきましょう。