文章の文法は、なんとなく使ってしまうことがあります。
『~んです』という言葉も、そんな一つといえるでしょう。
『のです』との文法の違いや意味は何なのか、例文を交えて解説していきます。
『んです』の意味と文法の使い方
『んです』は、強調しなければならない事情や状況があるときに用いる文法です。
例えば、「今日はカラオケに行きます」と相手に伝える文章があります。
このままでも意味は伝わりますね。
しかし、「今日はカラオケに行くんです」と文法を変えることで、『行く』という動詞を強調する使い方ができます。
そういった性質があるため、『んです』は質問で使うことが多いですね。
「今日はカラオケに行くんですか?」と表現すれば、『行く』かどうかを強調して尋ねることができるのです。
ただし、『んです』の文法は話し言葉となります。
相手に対して『そうなんですよ』と話しかけるなら良いですが、書き言葉として『そうなんですよ』と記すのは、文法として間違っているのです。
また、『~んです』という文法は、『です、ます』に比べると丁寧さが欠けているため、正しい日本語とはいえません。
目上の方に対して『そうなんですよ』と口にすると失礼にあたるのは、言うまでもないでしょう。
なので、『~んです』を使うのは、友人や家族といった身近な相手に使う言葉となります。
『のです』との違い
『んです』と似た言葉といえば、『のです』という言葉ですね。
実は、『のです』のほうが正しい文法といえるでしょう。
『んです』は、どちらかといえば砕けた言い方となります。
そのため、『んです』と『のです』はほとんど同じ意味ですが、『のです』の文章のほうが、『んです』よりも事情を更に強調しているように表現することができます。
例文
「まだ、パソコンを購入していないんですか?」
「まだ、パソコンを購入していないのですか?」
どうでしょうか。『~んですか?』のほうが優しい印象を受けるのに対し、『~のですか?』と表現したほうが強い口調で言われた気分になりますね。
このように、語尾を『のです』にすることで、相手を問いただすような表現を作ることができるのです。
『んです』の例文
『んです』の文法は、意味を知らないのに使っている方も多いことでしょう。
よくありがちな『名詞』『動詞』『形容詞』の例文を紹介しますので、書き言葉に直すとどうなるか解説していきます。
例文
「佐々木先生に指示されたので、教室を掃除したんです」
学生がよく口にしそうな台詞ですね。
この学生は敬語を使っていると思っているようですが、やはり目上の方に説明するなら書き言葉の文章に直したほうが良いでしょう。
例文
「佐々木先生に指示されたので、教室を掃除しました」
ちなみに、『教室を掃除するんです』のような『動詞』なら、『教室を掃除します』という表現になります。
例文
「あたしは何も悪いことはしていません。やったのは木村さんなんです」
この例文は、『名詞』に『んです』を使った表現方法ですね。
この場合は、『ん』を取るだけで簡単に書き言葉に直すことができます。
例文
「あたしは何も悪いことはしていません。やったのは木村さんです」
相手に説明するとき、長い文章は入りません。文章はシンプルのほうが見やすいですし、何より文法として間違っていないからです。
例文
「今日は真夏日で暑かったんですが、子供たちは元気だったんです」
この例文では、『形容詞』に『んです』が使われています。
実は、一ヵ所ではなく二ヵ所あることに気づきましたか?
例文
「今日は真夏日で暑かったですが、子供たちは元気でした」
この例文では、『暑い』と『元気』の二ヵ所に『んです』が使われていました。
両方とも直すことで、正しい書き言葉になりましたね。
もちろん、これらの例文を話し言葉として使用するのなら、直す必要はありません。
ですが、丁寧さを考えるのなら、やはり書き言葉の文法を使ったほうが良いでしょう。
まとめ
『んです』は、話し言葉で使われる文法です。
事情や状況を強調することができるため、相手に質問するときに用いられることが多いです。
また、どちらかといえば『んです』は砕けた言い方であり、『のです』のほうが正しい表現方法となります。
ただし、どちらであっても話し言葉であるため、お堅い文章を書くときには書き言葉に直すと良いでしょう。