漢字で書くとなかなか読めない文章があります。

 

『咀嚼』もそんな言葉の一つでしょう。

 

『咀嚼』の意味や使い方についても、あまり詳しくは知らない方が多いようです。

 

『咀嚼』の例文や類語、ダイエット効果に至るまで解説します。

 

咀嚼するの意味とは?

咀嚼するとは、食べ物が細かくなるまで嚼む(噛む)ことを意味します。

 

『よく噛んで食べる』という言葉は、『咀嚼する』の言葉に置き換えることができます。

 

他にも、『クチャクチャ音を立てて食べる』は『咀嚼音』と言い換えることが可能です。

 

そして、この咀嚼の意味には『味わう』といった解釈も含まれています。

 

そのため、『食べ物を細かくなるまで嚼む』という動作を比喩として利用することもできます。

 

咀嚼して伝える(文章を咀嚼する)

『咀嚼して伝える』という言葉こそ、咀嚼を比喩として利用した代表的な例です。

 

咀嚼を比喩的に言い換えると『物事や文章の意味を考えて味わうこと』になります。

 

つまり、『咀嚼して伝える』とは、一度聞いた話を自分の中で噛み砕き、分かりやすい言葉で他人に伝えることを意味します。

 

文章を咀嚼することで、より読みやすい内容に書き換えることができるのです。

 

彼の姿を咀嚼するの意味

夏目漱石の代表的な小説『こころ』の中で登場する有名な言葉があります。

 

『彼の姿を咀嚼しながらうろついていたのです』という文章です。

 

この『彼の姿を咀嚼する』とは、いったいどういう意味なのか分かるでしょうか?

 

これもまた、『咀嚼して伝える』と同じような解釈となります。

 

よく噛んで食べるように、彼のことを考える』ことを、夏目漱石は『彼の姿を咀嚼しながら』という比喩で表現したのです。

 

もっと分かりやすい言葉でも代用することはできますが、『彼の姿を咀嚼しながら』と書くことで、登場人物のキャラクターをうまく表現した一文となっているのです。

 

咀嚼のダイエット効果(機能や回数が少ない、弱いを改善する)

さて、咀嚼の意味が分かったところで、実際に咀嚼する行為は必要なのかも紹介しておきます。

 

実は、咀嚼することで体の健康機能を改善させ、ときにはダイエット効果を生み出すこともできるのです。

 

咀嚼する回数が多いと血液の循環も良くなり、新陳代謝が活発になります。

 

新陳代謝が高くなると脂肪燃焼効果がありますので、咀嚼をしているだけでダイエットに繋がるといえるでしょう。

 

他にも、時間をかけて食べることで満腹中枢を刺激してくれるため、食べ過ぎの予防効果もあるのです。

 

咀嚼で大事なのはよく噛むことなので、弱く噛むのではなく、大きく口を開けて食べるほうが良いです。

 

回数も少ないといけません。口に入れたものは、三十回は噛むようにしましょう。

 

咀嚼の類語や言い換え

咀嚼の類語や言い換えは、『噛む』に関係した言葉となります。

 

咀嚼という難しい言葉を使わず、『噛む』とシンプルに表現すれば、色々な言葉が生まれます。

 

『噛潰す』『噛砕く』『噛みこなす』あたりが、類語として適切なところでしょう。

 

咀嚼の使い方を例文で解説

咀嚼の意味を紹介したところで、咀嚼の使い方を例文で解説していきます。

 

 

例文

「課長。電車の中でくちゃくちゃしながら食べるのはやめてください」

 

 

目上の相手にそんなことを指摘できるかは、この際、置いておきましょう。

 

相手にモラルを教えるのなら、咀嚼という言葉を使ったほうが良いです。

 

 

例文

「課長。咀嚼音が聞こえてますよ」

 

 

目上の相手に伝えるなら、これぐらい優しい表現のほうが良いかもしれませんね。

 

次は、比喩として用いる咀嚼の使い方です。

 

まずは、正しい例文から解説します。

 

 

例文

取引先から渡された資料は、辞典の言葉をそのまま転記したように難解だった。関係者に渡す前に、文章を咀嚼して資料を作り直す必要がありそうだ。

 

 

咀嚼は、食べ物を細かくするという意味から転じて、『物事や文章を分かりやすくする』という比喩で使うことができます。

 

そのため、難解な文章を分かりやすくするとき、咀嚼を使って表現することができるのです。

 

ただし、次の例文のように言葉足らずになってはいけません。

 

 

例文

資料を咀嚼して渡した

 

 

この例文には『内容』という言葉が欠けてしまっているばかりに、ヤギが資料を食べたような印象を受けてしまいます。

 

もちろん、この例文でも意味は通じるのですが、文章は正しく伝わってこそ意味があります。

 

 

例文

資料の内容を咀嚼してから渡した

 

 

このほうが相手に正しく伝えることができます。

 

まとめ

咀嚼するとは、食べ物が細かくなるまで嚼むことです。

 

その意味が転じて、比喩として使うこともできます。

 

物事や文章の内容を理解する、味わうといった使い方もできるのです。

 

ただし、咀嚼するという言葉を知らない若者が多くなっているのは事実です。

 

会話のときは、相手の年齢に応じて分かりやすい言葉に直すことも必要かもしれません。