接続詞『そして』の文法から意味、使い方を解説します。
『そして』の日本語の例文、『それから』の違い、言い換え(類語)も紹介していきます。
そしての意味や文法とは?
『そして』の意味や文法を紹介するには、避けては通れない言葉がありますね。
それは『接続詞』です。
『そして』は、この『接続詞』を使った文法となります。
『そうして』という言葉もありますが、これは『そして』と同じ意味ですね。
『接続詞』には様々な文法がありますが、『そして』は『添加』に位置づけられる『接続詞』です。
『添加』とは、『前の事柄に後の事柄をつけ加える』場合に使います。
『そして』は代表的な『添加』ですので、『前の事柄に後の事柄をつけ加える』ことが『そして』の意味といえるでしょう。
そしての言い換え(接続詞の類語)
『そして』の言い換え(類語)とは、つまりは『添加』の言い換えを意味します。
『添加』には、『それに』『それにしても』『ともあれ』『しかも』『おまけに』『そのうえ』『そればかりか』『そればかりでなく』『それどころか』があり、これらが『そして』の類語となります。
ただし、『そして』は『添加』の代表的な言葉であり、意味もシンプルに『前の事柄に加えて、もう一つ事柄を加える』ことになります。
例えば、『しかも』だと、『前の事柄を後の事柄で大きく見せる』ときに使います。
『彼は頭がいい。しかもイケメンだ』と『しかも』で繋げれば、『彼』の良さを更に引き出している文章を書くことができます。
しかし、この文章だと『彼』の頭の良さは二の次で、『イケメン』の部分をもっとも褒めている表現となります。
そうではなく、どちらも褒めたいときには『そして』を使います。
『彼は頭がいい。そしてイケメンだ』と『そして』で繋げれば、『インテリなイケメン』であることを表現することができます。
このように、類語の『添加』であっても、ニュアンスが異なってくるのです。
そしてとそれからの違い
では、『そして』と『それから』の違いは何なのでしょうか?
どちらも『添加』の類語であり、性質は同じといえます。
こういうときは、実際に例文で比べてみるのが一番ですね。
例文
●僕は朝起きたらトイレに行き、そして洗面所に向かう。
●僕は朝起きたらトイレに行き、それから洗面所に向かう。
文章を書くなら、後者の『それから洗面所に向かう』となりますよね。
何故かというと、『それから』には『前の事柄よりも後の事柄の内容を強調する』意味を持つからです。
そのため、『トイレ』から『洗面所』に向かった行動をスムーズに表現することができるのです。
『それから』の『接続詞』が行動を表現するときに多く使われるのは、こういう意味があるからなのです。
そしての使い方を日本語の例文で解説
『そして』の使い方を日本語の例文で解説していきます。
例文に使われている『そして』が正しいかどうか、ぜひ見極めてください。
例文
民族同士の紛争で次々と命が消えていった。そして、誰もいなくなった。
『そして、誰もいなくなった』という文章は、聞き覚えがあるフレーズではないでしょうか?
もとを辿れば『アガサ・クリスティー』の小説『そして、誰もいなくなった』から有名となった文章だと言われています。
前の事柄が起こった結果、後の事柄『誰もいなくなった』状況になったわけですから、この二つを繋げる『接続詞』は『そして』が適切となります。
例文
男は複数の仲間を連れてやってきた。そして、全員が拳銃を所持している。
なるほど、文章の意味はなんとなく分かりますね。
『男』には複数の仲間がおり、彼らは拳銃を所持していたわけです。
ただ、これだと作文のような文章に見えてしまいますね。
もっと的確な『接続詞』を入れたほうが、日本語の文法としてはしっくりきます。
例文
男は複数の仲間を連れてやってきた。しかも、全員が拳銃を所持している。
『しかも』を『接続詞』にすることで、仲間の数よりも拳銃のほうが、話者にとっては脅威であることが伝わる文章となりました。
『接続詞』は、どれを入れてもなんとなくは意味が通じますが、適切な『接続詞』の使い方をすることで、現状を上手く伝えることができます。
例文
その部屋にはクーラーがない。そして、冷蔵庫もないときたもんだ。
この例文は、明らかに違和感を覚えますね。
後の文章が『冷蔵庫もない』と続いているのなら、『そして』でも問題はありません。
しかし、『~ときたもんだ』と喋り口調となっているため、『そして』の接続詞は文法として間違っているといえるでしょう。
例文
その部屋にはクーラーがない。おまけに、冷蔵庫もないときたもんだ。
ちなみに、『そのうえ』を『接続詞』にしても、文法として間違いではありません。
ただ、この話者は喋り口調で状況を説明しています。
『おまけに』は喋り口調の文章で使われる『添加』であるため、この例文では適切な『接続詞』となります。
例文
足をくじいてしまった。そして、大事に至らなくて良かった。
この例文に至っては、「読み返さなかったのだろうか?」と疑問にさえ思えてしまう文章ですね。
ここに『そして』を入れても、日本語の文法としてはおかしい形になっています。
もっと適切な『添加』を選ぶ必要があります。
例文
足をくじいてしまった。ともあれ、大事に至らなくて良かった。
『ともあれ』は、『ともかく』と同じ意味を持つ『接続詞』です。
『足をくじく』という事情を抱えてしまったにせよ、『大事に至らなかった』ことを強調するときには『ともあれ』を使うと良いでしょう。
例文
水を止められた。そして、食料まで底をついてしまった。
『水を止められた』という状況に続き、『食料まで底をついてしまった』と状況が悪くなっていますね。
この二つの事柄を結びつけるとき、『そして』ではうまく表現できていないことが分かります。
こういったときに適切な『接続詞』は、『そればかりか』となります。
例文
水を止められた。そればかりか、食料まで底をついてしまった。
『そればかりか』には、『前の状況に加え、後の状況が更に悪くなっている』ことを表現できる『接続詞』です。
『添加』にも色々な種類があるため、『そして』ではしっくりこないときは、入れ替えてみると良いでしょう。
まとめ
『そして』とは、『添加』と呼ばれる『接続詞』です。
『そして』の意味は、『前の事柄に後の事柄をつけ加える』ことです。
『そして』は代表的な『添加』となりますので、ほとんどの例文に当てはめることができます。
しかし、『添加』にも色々な種類と意味があるため、文法に合った適切な言葉を選ぶ必要があります。
綺麗な日本語の文法を目指すなら、『それに』『それにしても』『ともあれ』『しかも』『おまけに』『そのうえ』『そればかりか』『そればかりでなく』『それどころか』を使い分けられるようになりましょう。