『抜粋』とは難しい言葉ですが、その意味と使い方を理解しているでしょうか。
『抜粋』の意味を知らないだけなら良いですが、正しい『抜粋』方法を知らないのに、書籍の文章から『抜粋』してしまうと無断引用になることもあるのです。
『抜粋』の正しい使い方や類語は何なのか、例文を交えて解説していきます。
抜粋とは?
抜粋とは、本文の中から必要な箇所だけを引用する方法です。
そのため、抜粋した文章を勝手に付け加えたり、直したりしてはいけません。
それでは抜粋した意味がなくなります。
例えばレポートの場合、その抜粋した内容を用いることで、自分の意見が正論であることを展開していくわけです。
もし、この抜粋した内容を変更してしまうと、その著者の意見を自分寄りに改ざんしてしまうことにも繋がるのです。
だからこそ、抜粋する場合は本文からそのまま転用する必要があります。
抜粋すると要約するの違い
抜粋するときは変更してはならないと紹介しましたが、要約するときは問題ありません。
要約するとは、本文の内容を分かりやすくまとめ、短くすることを意味する方法だからです。
ここに抜粋すると要約するの違いがあります。
ただし、何でもかんでも短くすれば良いというわけではありません。
文章を短くしても、本文の意味が通じるように配慮しなければならないからです。
つまり、要約することは抜粋することよりも難しいといえます。
抜粋と引用の違い
抜粋と引用の意味を等しく考えている方は多いようです。
確かに、広い意味でいえば、抜粋も引用と同じ意味になります。
抜粋もまた、他人の文章を引用する行為だからです。
ただし、本来の引用は一部の文章ではなく、本文をそのまま写す方法となります。
引用のほうが、より著者の意図をそのまま反映させることができます。
抜粋の使い方と方法
抜粋、要約、引用に共通することは、他人の文章を借りているということです。
そのため、しっかりと引用方法を知らなければ無断引用となり、著作権問題にもなりますので注意しましょう。
引用方法はとても簡単です。まず、抜粋でも要約でも引用でも方法は同じとなります。
なので、抜粋の使い方を理解すれば、あともそのまま利用することができます。
例文
私は登山家のタケル。今まで制覇してきた山は、世界も入れたら100箇所以上はある。山に育ててもらったと言っても過言ではない。山登りをしたことがない人間には、山の魅力は理解できないだろう。その道が険しければ険しいほど、山頂から見える風景は格別なのだ。
例えば、この文章の著書が『山に愛された男・タケルが語る登山の世界』で、著者の猿山タケルが2010年に発売したものとします。
そして、『山登りをしたことがない人間には、山の魅力は理解できないだろう』という文章を抜粋に使いたいと思ったとき、このような使い方をします。
例文
『山登りをしたことがない人間には、山の魅力は理解できないだろう(猿山 2010)』の言葉から感じたのは、やったことがない人間には見えない世界があるということだ。
このように、文末に著者名と年を()を使って書き出すことで、誰の文章を抜粋したのかが分かるのです。
著者名は名前でも構いませんが、一般的には苗字を利用します。
今回は抜粋の使い方を紹介しましたが、要約でも同じく書き出すことができます。
ただし、レポートのように参考資料を書き出す必要があるときは、レポートの最後に書籍のタイトルもしっかりと明記しておきましょう。
抜粋の類語
抜粋の類語は、『要約』『引用』だと思う方も多いようです。
ただ、これらは方法であって類語とは異なります。
抜粋の意味は、本文から一部を抜き取ることです。
そのため、『書き抜き』『抜き写し』『抜き出し』のような言葉が抜粋の類語といえるでしょう。
抜粋の例文
抜粋の意味や使い方を詳しく紹介するため、例文を使って解説していきます。
何より、大事なのはどの範囲を抜粋するかでしょう。
例文
僕は数分おきに電話をし、彼女が出るのを待った。しかし、まったく反応がない。10分前に送ったLINEが既読にならないのが心配になったからだ。僕はいてもたってもいられず、雨の中を走った。彼女のアパートにたどり着くと、明かりが灯っていた。とりあえず、事件に巻き込まれていないようで安心した。
この例文から、『彼女』が自宅にいるのに留守を装った理由が分かる『僕』の性格を抜粋するとき、どの文章が適切でしょうか?
正解は『10分前に送ったLINEが既読にならない』です。
『数分おきに電話をし、彼女が出るのを待った』『僕はいてもたってもいられず、雨の中を走った』も『僕』の異常な性格が現れていますが、その行動を移したそもそもの原因は、10分までに既読しなければならないことを『彼女』に強要している点でしょう。
このように、抜粋するときは文章を理解する力も重要となるのです。
まとめ
抜粋とは、他人の文章の一部を書き抜く方法です。
そのため、しっかりと引用したことを示す必要があります。
抜粋した文章のあとに著者名と年を()で書き出しておきましょう。
他人の文章から抜粋するだけなら簡単ですが、しっかりと意味のある抜粋を行う必要があります。
他人の文章を抜粋することで、自分が伝えたい内容に説得力が増すからです。
ただし、的確な内容を抜粋しないと意味が通じないこともありますので、使い方には注意しましょう。
突然コメントを送ってしまい、申し訳ありません。注釈の種類についてお伺いしたいのですが、こちらのサイトで注釈、脚注、後注を学ばせていただきました。そこで専門用語などを、上記の方法を使わないで文章に組み込む場合は、これも何か注釈の種類に該当するのでしょうか?
(例)徳川綱吉(注1)は、後に悪政ともよばれる生類憐みの令を制定し、犬公坊とも呼ばれた。
注1 江戸幕府第5代目の将軍
↓
江戸幕府第5代目将軍である徳川綱吉は、後に悪政ともよばれる生類憐みの令を制定し、犬公坊とも呼ばれた。
文章の中で説明してしまうといことを、お伝えしたいのですが。。もし宜しければご教授お願いいたします。
コメント、ありがとうございます。
注釈を使用しない場合は、説明文という形になりますね。
つまり、文章自体が注釈の役割を果たしているため、とくに何かを明記する必要はないです。
ただし、説明文はすでに知識がある人から見ると間延びした文章になりがちなので、そのあたりは注意したいところですね。
お役に立てれば幸いです。