何気なく使っている文章の中で、正しい使い方を知らないまま利用している言葉は意外と多いです。
『ご自愛ください』という文章もまた、よく間違われやすい言葉です。
今回は、『ご自愛ください』の正しい使い方を解説します。
ご自愛くださいの意味と正しい使い方
多くの人は、『ご自愛ください』を広い意味で使っています。
もちろん、それが悪いわけではありません。
言葉を分解すれば、『自分』を『愛してください』という意味ですので、『お体を大切にしてください』という表現になるのは確かだからです。
これは、日本人ならではの表現方法といえるでしょう。
ただし、間違った文章のまま使っている方が多く見受けられます。
例えば、『お体にご自愛ください』と、文章の結びに書いてしまいがちですよね。
実はこれ、二重表現となります。
『自分』とは、つまり『身体』を示す言葉です。
その意味を含む『ご自愛』の前に『お体』をつけるのは、文章として間違っているのです。
こういった間違いをしてしまうのは、『お体にお気をつけて』『お体に障る』といった似たような言葉があるからでしょう。
『お体』を使いたいのなら、『お体にお気をつけてください』が正しい表現方法です。
なので、『ご自愛ください』の正しい使い方は、『くれぐれもご自愛ください』となります。
病気や風邪に使う結びの文章ではない
『ご自愛ください』には、もう一つ重要な意味があります。
それは、『体調を崩さないように身体を労わってください』という意味が込められていることです。
つまり、病気ではない人に使う言葉が『ご自愛ください』なのです。
例えば、知り合いが病気になったからと病院に赴いて、別れ際に「くれぐれもご自愛くださいね」というのは失礼にあたります。
聞き方によっては、嫌みにも取られかねない表現となってしまうのです。
病人に対してかける言葉は、「お大事に」が適切な表現方法となります。
寒い冬に出す返事の言葉
『ご自愛ください』とは、手紙の返事を書くときの結びの言葉として使うのが一般的です。
これは、久しく会っていない相手や大切な人の体を気遣う表現なのです。
そのため、『ご自愛ください』は年中問わず使うことができる文章です。
ただ、やはり寒い冬の時期に使われることが多いですね。
いつでも体を壊す時期はありますが、人間は寒いと体の免疫力が低下し、風邪を引きやすくなってしまいます。
本州から東北に異動したりすると、病気をこじらせてしまう方も多いようです。
そんな相手に対して、「ご自愛ください」と返事を出すことが励みとなるのです。
まとめ
『ご自愛ください』とは、『あなたの身体を労わってください』という意味です。
そのため、『お体をご自愛ください』という文章は二重表現になるので、『くれぐれもご自愛ください』が正しい使い方です。
また、『ご自愛ください』は相手に『病気にならないように気をつけてください』という意味が込められていますので、すでに風邪を引いている人や病気を患っている相手に使ってはいけません。
暑い夏や寒い冬のとき、相手の体を想って文章の結びに添えるのが日本人らしさなのです。