『空蝉』の読み方が分からない方も少なからず多いようです。

 

『空蝉』の使い方や意味、俳句で使う場合の季語は何か、反対語や類語はどんな言い換えがあるのか、例文も交えて解説していきます。

 

空蝉の読み方

空蝉を『からせみ』と間違って読んでしまっている方は、意外と多いようです。

 

空蝉の正しい読み方は、『うつせみ』です。

 

『空』には『虚』と同じ意味も含まれており、中身がないことを指す言葉でもあるのです。

 

空蝉の意味とは?

空蝉とは、セミの抜け殻を意味する言葉です。

 

そこから転じて、この世に生きている人間を指す言葉としても使われます。(この世、うつしみなど)

 

他にも、抜け殻に近しい意味として、虚しいことを表す場合に用いることもできます。

 

なお、空蝉は『源氏物語』の第3帖の巻名としても有名ですね。

 

空蝉の反対語や類語

空蝉の類語は、とても簡単です。

 

抜け殻とはいえ、もとはセミだったわけです。

 

そのため、類語は『蝉(セミ)』となります。

 

ただ、空蝉の意味を考えると、類語や言い換え、関連語は非常に多くなります。

 

『寂しい』『無常』『儚い』『空虚』など、抜け殻の意味を連想させる言葉を代用することができます。

 

では、空蝉の反対語(対義語)とは何なのでしょうか?

 

空蝉は、この世に生きている人間……うつしみ(現身)です。

 

そのため、反対語があるとすれば、たましひ(魂)や仏(故人)となるでしょう。

 

俳句の季語

空蝉を普段の文章で使うことはないかもしれませんが、俳句の世界では広く使われている言葉です。

 

空蝉は、季語として使うことができます。

 

蝉は夏に現れる昆虫ですので、季語は『夏』となります。

 

もう少し具体的にいえば、『晩夏』にあたります。

 

俳句で良く使われているのは、『空蝉(は、の、に、を、や)~』から文章を始めることで、うつしみの空虚を表現する方法となります。

 

空蝉の使い方を例文で解説

空蝉の具体的な使い方を例文で解説していきます。

 

文章の中で空蝉を使うことは稀だと思いますが、知っておいても損はないでしょう。

 

まずは、簡単な例文から紹介します。

 

 

例文

弟が虫取りをしたいというので、近くの森林を訪れた。通りかかった大木には、空蝉がくっついていた。

 

 

これは、1番分かりやすい空蝉の使い方ですね。

 

『蝉の抜け殻』と表現しても問題はありませんが、空蝉と表現したほうが文章をスッキリと見せることができます。

 

 

例文

日が昇れば、この武器を手に戦場へ戻らなければならない。

 

空蝉から抜け出し、どこか遠くに行くことができれば、どれほど幸せだろうか。

 

 

例文の話者は、紛争地域の戦闘に嫌気がさしているようです。

 

つまり、戦地(現実)にいる自分を空蝉に置き換えているわけですね。

 

戦争の虚しさを表現するのなら、空蝉の使い方は適切といえるでしょう。

 

まとめ

空蝉は、セミの抜け殻のことです。

 

その意味から転じて、この世に生きている人間(現身)を指す言葉でもあります。

 

抜け殻の姿と同じく『虚しい』という表現でも使うことができるため、類語や言い換えは『無常』『儚い』となります。

 

また、空蝉は俳句の季語として用いられることが多く、『晩夏』としての使い方が適切です。