文章には、『柔らかい文章』と『硬い文章』があります。

 

一般的に読みやすい文章とは、『柔らかい文章』を指します。

 

今回は、『柔らかい文章』を表現する方法を解説します。

 

硬い文章の書き方の違い

「硬い文章は読みづらいから書かないほうが良い」と説明している方もいるようですが、その考え方は間違っています。

 

世の中には、硬い文章で書く必要がある場面もあるからです。

 

それこそ、『お堅い』シーンでは、硬い文章が適切な表現方法なのです。

 

ビジネス文書や報告書は、まさに硬い文章が必要な書式ですね。

 

取引先に配る書類なのに、文章が友達口調で書かれていたら、受け取った相手は面食らってしまいますね。

 

他にも、お悔みを申し上げるときも硬い文章でなければなりません。そうでなければ、相手に失礼だからです。

 

さて、これらの文章に共通している書き方とは、謙譲語、尊敬語、丁寧語で書かれた文章ということです。

 

つまり、硬い文章とは相手にへりくだった書き方を意味します。

 

表現方法が書き言葉になることも、硬い文章の特徴といえるでしょう。

 

例えば、『つまり』ではなく、『すなわち』と書き言葉に直す必要があるため、文章全体を見るとお堅いイメージが出てしまうのです。

 

文章を柔らかくする表現方法は?

硬い文章は、フォーマルな場面では必要不可欠な書き方です。

 

しかし、相手に興味を持ってもらえる表現方法ではありません。

 

相手に読みやすい文章を書くなら、やはり文章を柔らかくする必要があります。

 

柔らかい表現方法で重要なのは、ひらがなと漢字の割合です。

 

 

「これから買い物に行きますが、何処か好きな場所を決めて下さい」

 

 

例文では、ひらがなが18の文字数に対して、漢字の文字数は10もあります。

 

これでは、硬い文章と思われても仕方がありませんね。

 

ひらがなに対して、漢字は三割以下にすると柔らかい文章に見えます。

 

 

「これからショッピングにいきますが、どこか好きな場所を決めてください」

 

 

どうでしょうか。さきほどより、柔らかい表現になっていると思います。

 

『買い物』は『ショッピング』でも意味が通じますので、カタカナ表記に変更しています。

 

カタカナも度が過ぎると硬い文章に見えてしまいますが、漢字よりは柔らかく見せることが可能です。

 

専門用語は避ける

柔らかい文章を目指すのなら、専門用語は避けるべきです。

 

専門用語は相手に意味が通じないばかりか、漢字が多くなりがちなので硬い文章に見えてしまいます。

 

 

「BMI値が悪かったため、アミノ酸で基礎代謝を改善した」

 

 

ダイエットに興味がない方には、硬い例文に見えてしまうはずです。

 

『BMI値』とは、肥満度を調べる数値のことです。『アミノ酸』と『基礎代謝』も知っている方には馴染みの言葉ですが、知らない方にとっては専門用語なのです。

 

 

「最近太ってきたので、タンパク質をとり入れて脂肪を燃焼しやすい体にした」

 

 

厳密にいえば、アミノ酸はタンパク質を作り出す成分なのですが、結果としてタンパク質を取り入れることを意味します。

 

タンパク質を取り入れることで筋肉量が増え、基礎代謝が上がるわけです。

 

基礎代謝が上がると、脂肪燃焼効果が生まれますので、『脂肪を燃焼しやすい体』と表現することで文章を柔らかくすることができます。

 

何より、専門用語を使っていない文章なので、さきほどよりも読みやすくなっていますね。

 

話し言葉で書く

文章には、話し言葉と書き言葉があるのをご存知でしょうか?

 

『非常に』の話し言葉は、『すごい』になります。

 

書き言葉の『非常に』より、話し言葉の『すごい』のほうが柔らかい印象を受けると思います。

 

他にも、『しかし』を『でも』の話し言葉に書き換えるだけで、柔らかい文章を表現することができます。

 

 

「多くのチョコレートを貰い、非常に嬉しい気持ちではある。しかし、僕は甘い物が苦手である……」

 

 

モテない男性陣から誹謗中傷されそうなイケメン発言ですが、この文章は硬い印象を受けますね。

 

その理由は、会話の文章なのに書き言葉を選んでいるからです。

 

これを話し言葉に直すだけでも、柔らかい文章を表現することができます。

 

 

「たくさんのチョコレートをもらい、嬉しい気持ちでいっぱいだ。でも、ぼくは甘いのが苦手なんだよな……」

 

 

『多く』を『たくさん』の話し言葉に直したことで、冒頭から柔らかい印象になりました。

 

書き言葉は漢字で表現するものが多いため、どうしても硬いイメージを持ってしまいます。

 

一方、読み言葉はひらがな表記が多いので、柔らかい表現として用いることができるのです。

 

まとめ

硬い文章は、フォーマルな場面で使われる表現方法です。

 

しかし、硬い文章は読みづらいため、相手の興味を惹くときや好印象を持ってもらう場合には不適切です。

 

読みやすい文章を心がけるなら、やはり文章を柔らかくするのが一番です。

 

とくに、以下の三つを守るようにしましょう。

 

  • ひらがなを多く、漢字は少なめにする
  • 専門用語はなるべく使わない
  • 書き言葉ではなく、話し言葉にする

 

これらをうまく取り入れることで、柔らかい文章を表現することができるのです。