それぞれの漢字に意味がありますので、使い方が分からなくても漢字を見ただけでなんとなくは想像することができます。

 

しかし、中にはまったく別の意味で使われている漢字もあります。

 

『前者』『後者』もそんな漢字といえるでしょう。

 

『前者』『後者』の意味や使い方を、例文や類語を交えて解説します。

 

前者後者の意味や使い方

前者という漢字だけに注目してしまうと、列に並んだ前の人(者)だと思ってしまいますよね。

 

しかし、前者はそういった意味ではありません。

 

前者とは、会話や文章の中で二つ述べたうち、前のほうに語った内容を意味します。

 

つまり、後者とは二つ述べたうち、後のほうに語った内容を意味します。

 

このことからも分かるように、前者と後者はセットで使われる言葉となります。

 

文章での使い方がよく見受けられますが、スピーチで使っている方もいます。

 

何故、こういった言い回しをするのかというと、比較対象を示すことでメリットとデメリットを明確にさせることができるからです。

 

また、同じ内容をくどくど書き出す必要もなくなるので、すっきりとした内容にまとめることができます。

 

前者後者の類語

前者と後者は、つまりは二つの内容を指し示す言葉です。

 

そのため、前者後者の類語や言い換えはたくさんあります。

 

書き記す言葉なら、『前記』『後記』や『上記』『下記』を言い換えとして使うことができます。

 

前後の記述を意味する『前述』『後述』も類語と呼べるでしょう。

 

他にも、文章で書く場合なら『前段』『後段』も類似語にできるかもしれません。

 

ただ、こういった類語は文章の中で使われることが多いです。

 

広い意味で二つの内容を指し示す言葉として使うのなら、やはり前者と後者が良いでしょう。

 

前者後者の例文

前者と後者の使い方を説明しましたので、その例文について紹介しておきます。

 

前者と後者をセットにするのが正しい使い方となります。

 

 

例文

過疎化を止めるためには、地元の若者を町に留めるか、町に若い世代を呼び寄せるしか方法はないだろう。

前者のほうは過疎化の原因でもあるのでなんとかしたいが、町に魅力がないから出ていってしまうわけで、ここは難しい問題だと思う。

後者のほうは他の町でも取り組みが行われているので挑戦したいのだが、呼び寄せるためには町に魅力をPRする必要がある。

なので、まずは町の魅力とは何かを考える必要があるだろう。

 

 

この書き手は、過疎化の問題解決を前者と後者を使って表現しているようです。

 

この場合の前者は『地元の若者を町に留めること』、後者は『町に若い世代を呼び寄せること』になります。

 

この例文では、前者後者を使って比較対象を明確にすることで、どこにメリットとデメリットがあるのかを紹介しているわけですね。

 

そのため、次のような例文では意味が分からなくなるので、使い方を間違ってはいけません。

 

 

例文

モテる男は本当に辛い。告白してきた彼女を傷つけない方法があるとすれば、『とりあえず付き合う』『とりあえず連絡先を交換する』『優しく断る』『立ち去る』『本命の彼女がいる話をする』のどれだろうか。

もっとも、僕はいつも前者を取ってしまうのだ。ああ、本当にモテる男は辛い。

 

 

内容が共感できないばかりか、この文章は意味が通じない部分があります。

 

この場合の前者とは、何を意味しているのでしょうか?

 

選択肢が多すぎて、『僕』が伝えたい前者がどれに当てはまるのか分からないのです。

 

前列にあるのは『とりあえず付き合う』『とりあえず連絡先を交換する』の二択ですが、これまた似たような内容であるため、読み手は判断しかねるのです。

 

前者後者を使う場合は、必ず二択にする必要があります。

 

まとめ

前者と後者は、会話や文章の中で登場する二つの内容を示す言葉です。

 

前者と後者を使うことで、二つの内容を読み手に比較させられるため、メリットやデメリットを明確にすることができるのです。

 

類語は、『前記』『後記』や『前述』『後述』などがあります。

 

前者と後者はセットで使うことが基本なので、比較させる内容は二つにしておきましょう。