『常体』と『敬体』の違いによって、文章の印象は大きく異なります。
『常体』がレポートに良い理由や『常体』の種類一覧、『常体』と『敬体』の2種類が含まれた混在する文章は良いのか、例文を交えて解説します。
常体と敬体の意味や違い
『常体』とは、敬語を使わず、すべての文末を『だ』『である』といった言葉で表現する文章形式です。
反対に、『敬体』とは『ですます』といった丁寧語を文末に使う文章形式です。
『常体』と『敬体』の違いを分かりやすくいえば、文末が『だ・である』になっているか、『ですます』口調になっているかの違いとなります。
ただ、『常体』と『敬体』にはそれぞれ意味があります。
丁寧語を使った『敬体』は、文章に親しみやすさが生まれます。
そのため、相手に文章を読んでもらいたいとき、気持ちを伝えたいときに『敬体』の文章を書いたほうが良いのです。
その点、『常体』は『だ』『である』で終わるため、相手に少しキツい印象を与えてしまいます。
その代わり、『常体』で書くと文章に説得力が出ます。
相手に情報を伝えるのなら、『常体』の文章のほうが伝わるといえるでしょう。
レポートは敬語ではない常体で書く
大学のレポートや会社に提出するレポートをまとめるとき、敬語や丁寧語の文章で書くことはありません。
何故なら、レポートとは相手に正しい情報を分かりやすく伝えるために作成する文書だからです。
そのため、敬語ではない『常体』で書くのがベストなのです。
もし、レポートを『敬体』で書いてしまうと、相手に親しみやすさを与えてしまい、真実よりも制作者の意図した内容に寄ってしまうことにも繋がります。
なので、レポートは『常体』で作成したほうが良いのです。
常体の種類一覧
『常体』の種類一覧を紹介します。
『常体』の言い回しも様々な種類がありますので、ぜひ覚えておくと良いでしょう。
常体の一覧
『~である』
『~であった』
『~だった』
『~だ』
『~なのだ』
『~する』
『~するべき』
『~している』
『~した』
『~しろ』
常体と敬体の例文(混在する文章は良いのか?)
『常体』と『敬体』の例文を比較し、どちらがその文章に適切かを考えると良いでしょう。
また、『常体』と『敬体』が混在する文章は良いのかも、例文を使って解説します。
例文
「お元気か? こっちは元気だ。私は、海外で活躍できる先輩が誇らしいのだ。戻ってきたら、ぜひ土産話を聞かせてほしいものだ」
仮に、この『私』と『先輩』に特別な関係があったとしても、久しぶりの相手に対する文章のやり取りでタメ口(常体)は良くありませんね。
メールのやり取りに関しても、ここは『敬体』のほうがしっくりきます。
例文
「お元気でしょうか? 営業部のみんなは元気です。私も含め、海外に転勤した先輩をみんな誇りに思っています。もし、戻ることがありましたら、ぜひ土産話でも聞かせてください」
もちろん、この先輩が自分よりも目上の人なら、『尊敬語』も入れておきたいところです。
ただ、同じ部署で苦楽を共にしてきた相手にメールを送るなら、こういった内容でも大丈夫でしょう。
例文
昨日、世田谷区の住宅街で火災が起こりました。幸い、けが人は出ませんでしたが、出火元のアパートは全焼しました。
相手と会話しているときは、これでも良いですが、新聞の記事として書く場合はよくありません。
新聞は字数が限られているため、より多くの情報を読者に伝える必要があるからです。
こういった場合は、『常体』で文章を書いたほうが良いです。
例文
28日午後20時ごろ、世田谷区〇〇の3階建てアパート『コーポ02』の2階の一室で出火し、全焼した。
新聞やレポートは、必ずどこで何が起こっているかを明確に記す必要があります。
そのため、必然的に情報量が多くなるため、敬語で文字数が多くならない『常体』を使ったほうが良いのです。
例文
この会社では、女性よりも男性のほうが出世することが多いです。
もし、これが事実なら、絶対に正さなければならない。
ベビー用品を販売している会社が男女差別をしていては、本末転倒といえるでしょう。
これは、『常体』と『敬体』が混在する文章です。
文法からすれば、この例文は間違いです。
しかし、真ん中の文章を『常体』で書くことで、この書き手の主張したい気持ちがストレートに伝わると思います。
もし、この部分が『常体』で「もし、これが事実なら、絶対に正さなければなりません」と書かれていたら、主張が弱く感じてしまいますね。
ときにはルールに縛られず、自由に文章を構成することも上手い文章を書くコツといえるでしょう。
まとめ
『常体』とは、文末を『だ』『である』にする文章のことです。
『敬体』とは、文末を『ですます』で表現する文章であり、『常体』とは対義語になります。
レポートや新聞なら『常体』、手紙やメールなら『敬体』のほうが相手に伝わりやすい文章形式です。
ただし、ときには『常体』と『敬体』を混在させることで文章の流れを良くし、読みやすい文章にすることもできるのです。