文章を書くとき、相手の年齢によって表現を変える必要があります。

 

丁寧語、尊敬語、謙譲語をしっかりと使い分けることで、相手に失礼のない文章となります。

 

今回は、謙遜する時に使う『拙い』から、謙譲語でよく使う言い回しなどを例文に沿って解説していきます。

 

謙譲語とは?

謙遜する文章を書くのなら、謙譲語の意味をしっかりと理解し、使い分ける方法を覚えましょう。

 

謙譲語とは、相手に対してへりくだった表現を使うことで相手に敬意を示す言葉です。

 

相手を思いやる日本人らしい表現方法といえるでしょう。

 

これは、日本語の文章が綺麗に見える理由の一つかもしれませんね。

 

謙譲語は、おもに動詞を変えることで表現することができます。

 

例えば、『もらう』は『いただく』、『見る』は『拝見する』に変えるだけで謙譲語となります。

 

つまり、謙譲語を使うためには謙譲語の言葉(単語)を覚える必要があります

 

謙遜とは?

謙遜は、相手にへりくだり、控えめな態度をふるまうことです。

 

つまり、謙譲語が上手に使える人に対して使われる言葉ということです。

 

日本人の美学と言い換えることができるかもしれませんね。

 

どんなに権力を持っても偉ぶることなく、目上の方にへりくだる姿勢を忘れてはなりません。

 

ただし、自分と近しい相手に謙遜すると、逆に不愉快に思われてしまう場合もあるので注意が必要です。

 

例えば、学生同士なのに謙遜すると、距離を置かれている風に感じると思います。

 

また、謙遜する必要がないぐらい差(立場や年齢)がある相手だと、むしろ嫌味に聞こえてしまう可能性もあるため、過度な謙遜は失礼にあたるケースもあるので、難しいところではあります。

 

しかし、大方の相手には好意を持ってもらいやすいため、謙遜する態度はもちろん、謙遜する文章も書けるようになっておきましょう。

 

謙遜する言い回しの使い方と例文(拙いや粗末など)

それでは、謙譲語の使い方が分かる例文を紹介します。

 

これは、日常生活で謙遜する言い回しにも使えるので、ぜひ覚えておきましょう。

 

~ばかり(心ばかり、気持ちばかり、形ばかり)

『~ばかり』は、相手に何かを送るときに使う謙譲語です。また、相手に接待する時にも使うことができます。

 

『心ばかり』『気持ちばかり』『形ばかり』を使うことで、相手の満足に値しないことを詫びる(謙遜する)表現となります。

 

なお、『気持ちばかり』は『気持ちだけ』に変えても大丈夫です。

 

 

「今日はお忙しい中わざわざお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。心ばかりのおもてなしにて失礼致しました」

「いつもご贔屓にしていただき、誠にありがとうございます。気持ちばかりですが、引出物をご用意しました。どうぞお納めください」

「形ばかりですがお祝いの宴席を設けましたので、どうぞご出席ください」

 

粗品、粗末な、つまらない

『粗品』『粗末な』『つまらない』は、相手に物を送るときに使われる謙譲語です。

 

日本には贈り物の文化があるので、もっとも使われる表現かもしれませんね。

 

ただし、謙遜するときは同義語に気をつける必要があります。

 

例えば、先ほどの『気持ちばかり』には『つまらない』の意味も込められているため、一緒に使うのはいけません。

 

 

「先日、旅行で沖縄に行ってまいりました。つまらないお土産で恐縮ですが、ぜひお召し上がりください」

「この度は本当にありがとうございました。粗品でございますが、ぜひお持ち帰りください」

「粗末なおもてなしで誠に申し訳ございませんでした」

 

おしるし、印ばかり

『おしるし』も、『粗品』『つまらない(もの)』と同義語です。

 

どちらが良いとかはないですが、『粗品』のほうがメジャーかもしれませんね。

 

『おしるし』の他に、『印ばかり』を入れる使い方もできます。

 

 

「お会いできて光栄です。お近づきのしるしに、どうぞお受け取りください」

「いつもお越しいただきありがとうございます。ほんの印ばかりで恐縮ですが、どうぞお納めください」

 

お邪魔する

知らない方もいるようですが、『お邪魔する』は謙遜語です。

 

『訪問する』を謙遜語に直すと『伺う』ですが、『お邪魔する』は『伺う』の同義語になります。

 

 

「明日お邪魔させていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか」

 

至らない、行き届かない

『至らない』『行き届かない』は、新社会人なら覚えておきたい謙遜語ですね。

 

仕事のやり方が分からないので、『至らない』とへりくだっておけば、その謙遜の姿勢を評価してもらえます。

 

 

「今日からお世話になります。至らない点も多々あるかと存じますが、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます」

「初めてで行き届かない点ばかりですが、精一杯務めさせて頂きます」

 

気の利かない

『気の利かない』もまた、謙譲語として利用することができます。

 

おもてなしと組み合わせて使われるのが多いですね。

 

 

「気の利かないおもてなしで失礼いたしました」

 

拙い、拙文、(文章が下手で謙遜するとき)

『拙い』とは、『劣っている』ときに使う言葉です。

 

ただ、『下手』な場合にも用いることができます。

 

そのため、文章が下手だと謙遜するときでも使うことができます。

 

 

「つたない文章で恐縮ですが、ぜひご拝読ください」

「拙文ではございますが、この度の出来事を書かせて頂きました」

 

まとめ

どの言葉が丁寧語、尊敬語、謙譲語なのか、初めは混乱することが多いと思います。

 

そのときは、相手にへりくだっている言葉かを考えると良いです。

 

相手に敬意を払う言葉こそ、謙譲語なのです。

 

謙遜する姿勢を文章にすることができれば、誰もその文章を下手だとは思わないはずです。