『前段』という言葉は、あまり聞きなれないかもしれません。
文章における『前段』の意味やビジネス文書の使い方などを紹介します。
前段の使い方と意味
『前段』とは、一つ前の段、前の区切りを指す言葉です。
文章なら、例文のような状態を『前段』といいます。
例文
『亀の生態調査』
亀は本当に一万年も生きるのか、その生態を調査したいと思います。
『蛙の生態調査』
蛙の鳴き声はどれくらいバリエーションがあるのか、その生態を調査したいと思います。
この場合、『亀の生態調査』の説明文が『前段』となります。
文章ではこのような使い方をしますが、この意味を利用した表現方法もあります。
例えば、『前段階での作業』といえば、今までに行った作業工程を示す言葉となるのです。
前段と後段
『前段』の対義語は『後段』となります。
『後段』とは、言葉どおりの意味で、区切りの後の部分を指す言葉です。
先ほどの例文でいえば、『蛙の生態調査』が『後段』です。
文章には、必ず『前段』と『後段』が存在しますので、区切りから前が『前段』、後が『後段』と覚えておきましょう。
また、『後段』と似たような言葉に『下段』という言葉もあります。
『下段』については、こちらで紹介しています▼
前段と前談
『前段』と検索すると、『前談』の単語も類似語として表示されます。
『前談』の意味は何かと調べてみましたが、現代の辞書には掲載されていませんでした。
言葉の意味だけで考えれば、噺家の落語における前編部分を『前談』と示すのでしょうか。
ただ、落語の用語にも『前談』のような言葉は見当たらないため、やはり造語である可能性は高そうです。
前段が長いビジネス書の例文
さて、『前段』の意味や使い方について解説しました。
実は、『前段』はビジネスでも使われる言葉です。
ビジネス文書を作成するとき、相手に上手く伝えるポイントはいくつかあります。
その中で、『前段が長い』ビジネス文書は相手に伝わらないと言われています。
もし、『前段が長く』なりがちなときは、『前段』をそぎ落としていく必要があります。
例文
田邊工業とは古くからの付き合いであるが、昨今の物価上昇で影響を受け、20%も値上げしている。一方、新富工業とは先月からの付き合いであるが、安定した供給が見込めるため、それほど値段に影響はない。
結論として、田邊工業との取引を終了するのが望ましい。
色々とおかしなビジネス文書ではありますが、気になるのは『前段』が長いことです。
取引先との付き合いは、わざわざ上司に報告しなくても分かっているはずです。なら、ごっそりそぎ落としたほうが見やすくなるでしょう。
例文
田邊工業は昨今の物価上昇で影響を受け、20%も値上げしている。一方、新富工業は安定した供給が見込めるため、それほど値段に影響はない。
結論として、田邊工業との取引を終了するのが望ましい。
まだまだ改善の余地があるビジネス文書ではありますが、『前段』が短くなったことで、さきほどよりも見やすくなりました。
このように、『前段』は短いほうが意味が通じるのです。
なお、ビジネス文書の基本については、こちらの記事で紹介しています▼
これはビジネスだけでなく、通常の文章でも同じことが言えます。
くどくど説明するよりも、概要だけをまとめたほうが内容を伝えることができるのです。
まとめ
『前段』とは、一つ前の段を意味する言葉です。
『前段』は『後段』と区切りが違いますが、内容が繋がっている場合は『前段』の長さにも気をつける必要があります。
状況を速やかに報告しなければならないビジネスシーンでは、『前段』が長いと意味が通じなくなるからです。
『前段』は短くまとめて、『後段』の補足として役立てるように書きましょう。