原作と脚本の違いについて、解説することはできるでしょうか?

 

他にも、小説や台本、原案といった類語もありますね。

 

監督や作者など、立場の違う職業についても紹介します。

 

原作の意味とは?

原作とは、脚色する前のもとになった作品を意味する言葉です。

 

原作の言葉が良く使われるのは、テレビ化や映画化が決まった小説、漫画が存在する時ですね。

 

その作品が原作かどうかを判断する基準は、類似点がどれほど多いかです。

 

登場人物がまったく同じ場合は、確実に原作を使っていると見なされます。

 

例えば、作品の内容が山賊をテーマにしていたところで、麦わら帽子を被った主人公が『モンキー・D・ルフィ』という名前だったら、原作は『ワンピース』となります。

 

仮に、漫画を実写にしたことで顔が異なる場合でも、登場人物たちの名前が似ていれば、その作品は原作を利用していると見なされるのです。

 

なお、原作を書いた人物は原作者と呼ばれます。

 

原作と原案の違い

ここで気になるのが、原作と原案の違いでしょう。

 

原案とは、検討を重ねることで作られた最初の案を指す言葉です。

 

一見すると、原作と意味が似ているように思えます。

 

ただし、原案の場合はあくまで案(考え方)ですので、原作をそのまま利用しているわけではありません。

 

仮に、原作を参考にしたとしても、ストーリー性をガラリと変えていれば、その作品はオリジナルと見なされるのです。

 

例えば、学校に出現したゾンビから逃げ惑うストーリーが原作に存在していても、病院に出現したエイリアンから逃げ惑うストーリーなら原案となります。

 

つまり、原作と原案の違いは作品の原作者が他にいるかどうかとも言えるでしょう。

 

原作と原案の判断基準は、類似点がどれほど少ないかにかかっています。

 

ちなみに、映画業界では、原作になると使用料が発生することになっています。

 

原作と原案の違いによって、法的な処置も変わってくるのです。

 

脚本の意味とは?

脚本とは、登場人物の行動や台詞、物語の成り行きがシンプルにまとめられたテキストを意味する言葉です。

 

柱書き、台詞、ト書きだけで構成されているため、シーンごとに主人公の感情を表現する小説とは書き方が異なります。

 

脚本はシナリオを重視して書かれたテキストであるため、スタッフが物語の流れを掴めれば良いのです。

 

なお、脚本を手掛けた人物は脚本家と呼ばれます。

 

脚本と演出の違い

演出とは、シナリオにもとづいて舞台装置が作動したり、役者が演技を行うことで出来上がる総合的な組み立てのことです。

 

そのシナリオとは、脚本を意味します。

 

つまり、脚本と演出の違いとは、文章に書かれた状態か実際の映像として行われた内容かの違いとなります。

 

脚本と小説の違い

小説とは、文章で紡がれたストーリーです。

 

読み手を楽しませるために、あらゆる工夫を小説の中に取り入れます。

 

主人公の感情や言動はもちろん、情景をうまく表現する比喩も用いる必要があります。

 

つまり、脚本と小説の違いは、誰に読ませるかがもっとも異なる部分です。

 

脚本は、舞台や番組のスタッフに見せるシナリオであるため、シンプルに構成されています。つまり、意図が伝わればそれで良いのです。

 

しかし、小説は読み手を楽しませる必要があります。その文章がシンプルで良いわけがありません。

 

だからこそ、小説の文字数は脚本よりも多くなるのです。

 

脚本と台本の違い

台本とは、主に役者が読むために書かれたテキストです。

 

そのため、登場人物の台詞がメインに構成された文章となります。

 

脚本でも台詞があるので似た存在なのですが、脚本は映像をどのように取るかが目的となります。

 

脚本には、登場人物の立ち位置やセットがどのように映るかなども細かく記す必要があります。

 

つまり、脚本と台本の違いは、登場人物の言動がメインに書かれているか、舞台の全体を細かく書かれているかの違いとなります。

 

原作と脚本の違い

原作と脚本について詳しく紹介したところで、原作と脚本の違いについて解説します。

 

この違いは、小説が映像化したことをイメージすると分かりやすいです。

 

小説の映像化が決定したら、小説に書かれた文章をどのように映像として表現するのか、一から考える必要があります。

 

つまり、映像の設計図となる脚本を作るわけです。

 

そのため、原作と脚本の大筋は同じですが、ところどころの表現方法が異なります。

 

文章から映像に演出が変わるため、どうしても同じようには表現しづらいのです。

 

原作と脚本の違いは、すでに存在している作品か、これから新しく作るための設計図かの違いといえるでしょう。

 

脚本家と作者の違い

脚本と原作の違いが分かれば、脚本家と作家の違いもおのずと分かるはずです。

 

脚本家は、原作をどのように映像化させるかを考え、その設計図である脚本を作る人物となります。

 

そして、作家は原作の著者です。

 

年齢によっても立場は異なると思いますが、基本的には著作権を持つ作者のほうが意見を言える立場となります。

 

原作と脚本と監督の違いや立場は?

最後に、原作と脚本と監督の違いについて紹介します。

 

もっとも、この場合は原作者、脚本家、監督という立場で考えたほうが分かりやすいでしょう。

 

監督とは、主に映像化したときに現場の指揮を任されている人物です。

 

脚本も手掛ける監督はいますが、やはり映像化となると仕事量が尋常ではありません。

 

そこで、演出の設計図となる脚本を書いてくれる脚本家を招くことが通例となっています。

 

そもそも、視聴率を気にしなければなりませんので、人気の原作を映像化したほうが良いのです。

 

監督と聞けば誰よりも偉い人物と思いがちですが、監督から見れば脚本家も原作者も『先生』と呼ぶ相手といえるのです。

 

まとめ

原作とは、もとになった作品を意味します。

 

脚本とは、映像化させるためのシナリオです。

 

原作と脚本の違いは、すでに存在している作品か、これから新しく作るための設計図かの違いとなります。

 

原作がある場合、脚本に求められることは、原作にどれほど近づける演出ができるかです。

 

原作のファンを満足させる脚本が書けてこそ、一流の脚本家なのです。