日本語で文章を書けば、なんとなくは読むことができます。
しかし、何度読んでも意味が理解できない、読みづらい文章というものがあります。
その原因は、文章にメリハリがないからです。
今回は、文章にメリハリをつけるテクニックを解説します。
語尾にメリハリをつける
文章にメリハリがない理由の一つは、語尾が揃っているからです。
語尾が揃っていると、同じ文章に見えてしまいます。
例
今日は晴れました。外でキャンプをする日だったので、安心しました。
車で目的地に向かうと、すでに友達は到着していました。
楽しみにしていたバーベキューは、もう始まっていました。
これは、もっともやってはいけない『ました』の語尾で統一してしまう文章です。
語尾に『ました』を入れてはいけない理由は、こちらで詳しく解説しています▼
話者からすれば、これから楽しいキャンプでウキウキのようですが、読み手からすれば退屈で仕方がありません。
語尾を統一してしまうと間延びした印象を受けますので、文章にメリハリが出ないのです。
例
今日は快晴でした。キャンプをする日だったので、一安心です。
車で目的地に向かうと、すでに友達は到着しており、心待ちにしていたバーベキューを始めていました。
語尾を統一しないことで、文章にメリハリが生まれているのが分かると思います。
文末の表現は、実に多くのバリエーションが存在するため、誰でも簡単に変更することができます。
さて、次に注目してもらいたいのは、正しい例文では無駄な単語をそぎ落としていますね。
これもまた、文章にメリハリをつけるうえでは大事な作業となります。
無駄な単語をそぎ落としてメリハリをつける
文章を書いていると、気づかずに無駄な単語を入れてしまうことがあります。
さきほどの例文だと、『外でキャンプをする日だったので、安心しました』と書かれています。
でも、外でキャンプをすることは当たり前のことですよね。つまり、『外で』はなくても意味が通じるのです。
これを二重表現(重複表現)といいます。
二重表現については、こちらの記事で詳しく解説しています▼
こうした表現があると、文章が無駄に長くなってしまい、メリハリのない文章になりやすいのです。
例
「これはどうしたことだろうか。馬に乗るプロのジョッキーが、馬から落馬している」
読み手のほうが、「これはどうしたことだろうか?」と言いたい文章ですね。
『馬に乗るプロ』=『ジョッキー(騎手)』なので、ジョッキーを書くだけで意味が通じます。
そして、『落馬』とは馬から落ちることなので、『落馬』の前に『馬から』という言葉は不要です。
例
「これはどうしたことだろうか。ジョッキーが落馬している」
こちらの文章のほうが、状況を瞬時に把握できますね。例文は短いので分かりづらいですが、文章が長くなるとメリハリの効果を実感できます。
正しい文章を心がけるだけでも、メリハリを生むことができるのです。
体言止めで文章にメリハリを持たせる
今まで紹介した『語尾』と『二重表現』より、体言止めの文法のほうが文章のメリハリを感じさせることができます。
体言止めは、文章にリズムを持たせる効果があるため、メリハリをつけるには有効な手段なのです。
例
部活帰りに海へいくと、夕日が沈んでいた。
僕も大人になったら、この景色を青春と呼ぶのだろうか。
中高生の時期に、こんなキザなことを思う方がいるかどうかは別にして、文章で何を伝えたいかは分かりますね。
これに体言止めを用いると、文章にメリハリを与えることができます。
例
防波堤の上から見えるのは、海面に沈みゆく夕日。
僕も大人になったら、この景色を青春と呼ぶのだろうか。
文章の語尾を名詞で終わることで、体言止めを表現することができます。
このように体言止めを用いることで、文章にリズムが生まれているのが分かると思います。
また、文章に余韻を持たせる効果も生まれます。
例文では、沈む夕日を見ながら物思いにふける様子を表現することができるのです。
まとめ
文章にメリハリは大事です。
メリハリがない文章は、内容が同じに見えてしまいます。
文章が単調になりやすいため、読み手は眠くなってしまうのです。
文章にメリハリをつけるなら、『語尾』を統一せず、『二重表現』がないかをチェックします。
文章の基本的な間違いを直すだけでも、ずいぶんとメリハリが出てくると思います。
そして、適切な箇所に体言止めの文法でメリハリをつけます。
ただし、体言止めは多用し過ぎると情報不足になってしまうので、頻度は注意しましょう。
これらのことに気をつければ、文章にメリハリが生まれ、結果として相手の興味を惹く文章を書くことができるようになります。