『文章を寝かせる』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

文章を寝かせることで、文章はグッと読みやすくなります。

 

今回は、文章を寝かせる理由や効果について解説します。

 

文章を寝かせると推敲の質が上がる

さて、文章を寝かせるとはどういう意味なのでしょうか?

 

文章を寝かせるとは、主に小説などの作品を綴るときに使われる言葉です。

 

小説を書き終えたあと、作家はその文章を隅から隅まで読み直していきます。つまり、推敲するわけです。

 

推敲を重ねることで、文章は読みやすくなっていきます。その理由は脱字を修正できるからではありません。

 

文章の表現方法や言葉選びが適切かどうかを吟味し、今よりもふさわしい表現に入れ替えていくことができるからです。

 

小説は100,000字以上で構成されるものが多いため、こういった推敲の作業が重要となるのです。

 

ですが、読み直しただけで推敲は終わりではありません。

 

最後に、文章を寝かせる必要があります。文章を読み返すのをやめ、数日ほったらかしにしておくのです。

 

つまり、文章を寝かせることは推敲の仕上げ作業であり、推敲の質を上げるために行うのです。

 

文章を寝かせる理由や効果

では、文章を寝かせることでどんな効果があるのでしょうか?

 

多かれ少なかれ、文章を綴っているときは一種の興奮状態になっていると言われています。

 

名シーンを書き上げようと、気持ちが高ぶっているからです。

 

そのため、作品全体の構成を無視して、その章だけに力を注いでしまいがちです。

 

その状態で読み返したところで、「よし、いい作品ができた」としか思えないはずです。

 

しかし、気持ちをリセットしたあとで読み返したら、「なんて恥ずかしいことを書いているんだ!」と驚愕する経験は、少なからず誰にでもあるはずです。

 

これこそ、文章を寝かせる理由となります。

 

一度、文章から離れることで気持ちをリセットし、フラットな状態に戻します。冷静になって文章を読むことで、全体の構成を考えながら文章を手直しすることができるのです。

 

文豪の『文章を寝かせる』

文章を寝かせることは、推敲の中でも重要な作業です。

 

しかし、人気作家は原稿を書き上げる期限が設けられていますので、文章を寝かせる日数が取れない方も多いです。

 

本来、文章を寝かせるとはそんな気軽な作業ではありません。

 

文豪と呼ばれる人なら、「今はこの作品を出すときではない」といい、数年以上も文章を寝かせることがあります。

 

「それはさすがにやり過ぎでは?」と思う方もいると思いますが、過去の自分の手紙を読んでみるとそんな気は起きないはずです。

 

人間は、覚えた言葉でしか文章を綴ることができません。しかし、知識や人生経験を積むことで使える表現が増えていき、より深い文章を書くことができます。

 

一年後……今よりもっと優れた文章を書くことができるようになります。そう考えれば、文章を寝かせることがどれほど尊いかが理解できるはずです。

 

文章を寝かせるとは、これぐらいの意味を持つ行為であることは忘れないでください。

 

まとめ

文章を寝かせるのは、小説を書くときだけに使うものではありません。

 

大切な相手に出す手紙もまた、文章を寝かせたほうがしっくりくる内容に仕上がります。

 

大切な相手に出すときほど、人間は盲目になりがちです。それは文章でも変わりありません。

 

お悔みを伝える文章なのに、相手の気持ちを考えずにあれこれ尋ねた文章になっていませんか?

 

恋文の内容が、あまりに自分勝手で『好き』という気持ちが出過ぎてはいませんか?

 

たった一日、文章を寝かすだけでも、こうしたミスに気付くことができるはずです。

 

相手の立場になって考える時間を作ることが、文章を寝かせる最大の理由といえるでしょう。