読みやすい文章の書き方講座、第9回の記事になります。

 

第9回目は、名詞と動詞についてです。

 

見やすい文章は短い

とても簡単で分かりやすい話です。

 

いつ終わるのかも分からない長文より、的確な言葉でまとめられた短文のほうが読みやすいに決まっています。

 

読みづらい文章とは、大抵ここに引っかかるものを指します。

 

その邪魔となっているのは、装飾語である形容詞、副詞なのです。

 

名詞

人物を指す言葉を名詞といいます。

 

『大いなる賢者』なら『賢者』が名詞となります。

 

動詞

動作を指す言葉を動詞といいます。

 

『ボールを投げる』なら『投げる』が動詞となります。

 

形容詞

名詞がどんな状態なのかを表す言葉が形容詞です。

 

『面白い本』なら『面白い』が形容詞となります。

 

副詞

副詞は用言を装飾する単語です。

 

『ゆっくり食べる』なら『ゆっくり』が副詞となります。

 

装飾語の多用、誤用を直す

装飾語がついていれば、見栄えが良くなるという考え方は間違いです。

 

一つならまだしも、二つ以上ついていると、もはや二重表現と同じくらいに文章の流れを悪くします。

 

二重表現の意味が分からない方は、こちらの記事で詳しく紹介しています▼

【文章の書き方】二重表現がないかチェックする

 

さて、以下の例文で不要な装飾語はどれでしょうか?

 

「今日は本当に暑く、乾いた砂漠のような気温でした」

 

正解は『暑く、乾いた』です。

 

最後に『砂漠のような』と表現するのなら、砂漠が暑いのは書かなくても分かります。乾いているのも、同じ理由でいりません。

 

書き手は、読み手の想像力を見くびってはいけません。

 

読み手は文章に目を通しながら、物語を想像して読み進めています。

 

不要な装飾語は、読み手の楽しみを奪う行為であることを忘れてはいけません。

 

名詞、動詞を際立たせる

装飾語である形容詞、副詞は、名詞や動詞を引き立てる効果があるのは間違いありません。

 

ただし、名詞や動詞を際立たせることができるのなら、わざわざ装飾語を入れる必要はないのです。

 

「彼女は本当に優しく、清らかな心を持っていました」

 

ここに書かれている文章は、正しい日本語で表現されています。

 

しかし、短くしようと思えばいくらでも訂正することができます。

 

「彼女は聖人だった」

 

シスターと入れても良いでしょう。

 

どちらにせよ、同じ意味でありながら、文章はずいぶんと引き締まって見えると思います。

 

たった一つの名詞を入れただけで、多くの形容詞を削ることができるのです。

 

「全ての力を出し切って走る」

 

この副詞はどうでしょうか。間違いではありませんが、やはり見やすい文章とは言えないかもしれません。

 

「全力疾走した」

 

短くなったのに、スピードが速くなった印象を受けます。

 

際立った動詞を思いつくことができれば、そもそも副詞は不要なのです。

 

まとめ

他の講座と比べて、難易度が高くなったように感じた方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、身構える必要がありません。

 

色々な文章に触れていくことで、語彙ごいは自然と増えていきます。

 

日常生活で溢れている言葉に耳を傾けるだけで、適切な名詞や動詞を学んでいけるはずです。

 

もちろん、語彙を啓発的に増やしていくことが一番です。

 

誰でも読みやすい文章を書くためには、誰もが理解できる言葉を知っている必要があるからです。

 

次の講座を読む

目次

読みやすい文章の書き方講座 第1回『文末は「です」「ます」で統一する』
読みやすい文章の書き方講座 第2回『「ら」「い」抜きで書かない』
読みやすい文章の書き方講座 第3回『句点と読点の正しい打ち方』
読みやすい文章の書き方講座 第4回『5W1Hとは?順番や意味は?』
読みやすい文章の書き方講座 第5回『重複表現、二重表現がないかチェックする』
読みやすい文章の書き方講座 第6回『カタカナ表記にする言葉は外来語と効果音』
読みやすい文章の書き方講座 第7回『漢字は少なく「ひらがな」を主体にする』
読みやすい文章の書き方講座 第8回『段落の意味、つけ方を覚えて文章をまとめる』
読みやすい文章の書き方講座 第9回『名詞や動詞を際立たせて、形容詞、副詞をなくす』
読みやすい文章の書き方講座 最終回『推敲を繰り返すだけで文章は良くなる』