読みやすい文章の書き方講座、第5回の記事になります。
第5回目は、重複表現や二重表現をチェックする大切さを解説します。
同じ意味になる言葉を使わない
冒頭の記事タイトル『重複表現、二重表現がないかチェックする』に対して、なんの疑問も持たないでクリックした方は危ないです。
『二重表現』と『重複表現』は漢字こそ違いますが、意味はまったく変わりません。
これこそ、『同じ意味になる言葉を使わない』というサブタイトルの解釈となります。
二重表現、重複表現、重言、2つ重なった言葉・・・日本語には、同じ意味を持つ言葉が数多く存在します。
この辺なら分かりやすいですが、見落としがちな『二重表現』は他にもあります。
装飾語が不要になっている二重表現
装飾語とは、内容をより詳しくしてくれる言葉を指します。
『赤い花』なら、装飾語は『赤い』です。
装飾語を余計につけることで、二重表現となっている場合があります。
『馬から落馬』『お金を入金する』という言葉が、それに該当します。
『落馬』という言葉は、馬から落ちるという意味です。
わざわざ『馬から』という装飾語をつけてしまうと、『馬から馬から落ちる』と書いていることになります。
『お金を入金する』も同じ理由です。
被装飾語が不要な二重表現
被装飾語は、装飾語ではない言葉を指します。
『大きい花』なら、『花』が被装飾語です。何故なら、『大きい』が装飾語だからです。
『頭痛が痛い』『返事を返す』が、不要な被装飾語となります。
『頭痛』とは、頭が痛いことです。
この文章だと『頭が痛い痛い』となり、まるで子供をあやすような文章になってしまいます。
『返事を返す』も同じく、不要な被装飾語がついていると言えます。
外来語が不要な二重表現
日本語と外来語を混ぜた文章で、よくありがちな二重表現も多くあります。
『昼食のランチ』『思いがけないハプニング』は、まさに二重表現です。
外来語を使うとオシャレに見えるかもしれませんが、前後に同じ意味があるのなら不要な言葉となります。
二重表現と見なされづらい言葉
基本的には避けたほうがいい二重表現ですが、中には大目に見られている言葉があります。
『一番最初』や『一番最後』という言葉です。
あえて同じ言葉を並べることにより、その意味を強調していると見なされる場合が多いです。
また、『旅行に行く』『防犯対策』『ラム酒』も二重表現なのですが、すでに定着しているため、誰もが使っています。
『ラム酒』はどこが二重なのか不思議に思う方もいるでしょうが、『ラム』という言葉も、酒という意味が含まれているのです。
しかし、どの言葉も日常会話で聞かれるほど浸透しているため、お店の表記などにも使われています。
もちろん、これらは厳密には間違いですが、規則で固められた文章が読みづらいことは、第4回で説明しました。
飛ばしてしまった方は、こちらの記事を参照してください▼
時と場合によっては、二重表現も文章を彩る可能性があると言えます。
まとめ
二重表現は、文章を作る上で難しい問題かもしれません。
普段から使っていた言葉が、正確には間違いだったというケースが多いからです。
しかし、恐れることはありません。書いた文章を読み直すことで、二重表現は一目で分かります。
ダメな二重表現ほど、同じ漢字を繰り返し使っています。
『馬から落馬』を見れば、『馬』という漢字を繰り返し使っているのが分かると思います。
すでに定着している二重表現を使う時は、ひらがな表記することで幾分かは自然に見えるようになります。
『旅行に行く』を『旅行にいく』と直すだけで、それほど違和感を覚えることはありません。
目次
読みやすい文章の書き方講座 第1回『文末は「です」「ます」で統一する』
読みやすい文章の書き方講座 第2回『「ら」「い」抜きで書かない』
読みやすい文章の書き方講座 第3回『句点と読点の正しい打ち方』
読みやすい文章の書き方講座 第4回『5W1Hとは?順番や意味は?』
読みやすい文章の書き方講座 第5回『重複表現、二重表現がないかチェックする』
読みやすい文章の書き方講座 第6回『カタカナ表記にする言葉は外来語と効果音』
読みやすい文章の書き方講座 第7回『漢字は少なく「ひらがな」を主体にする』
読みやすい文章の書き方講座 第8回『段落の意味、つけ方を覚えて文章をまとめる』
読みやすい文章の書き方講座 第9回『名詞や動詞を際立たせて、形容詞、副詞をなくす』
読みやすい文章の書き方講座 最終回『推敲を繰り返すだけで文章は良くなる』
『昼食のランチ』『クリスマスイブの夜』程度の重言には気付いて欲しいですが
『ラム酒』『チゲ鍋』『サハラ砂漠』のような所謂カタカナが入る言葉は
手掛かりが少ないので遣ってしまっても仕方ないよう感じます。
気付くとすれば重言をまとめて扱っているサイトを見た時でしょう。
『犯罪を犯す』は重言かというのを調べていたら
『ラム酒』や『チゲ鍋』も載っていたというケース。
『ラム酒』の場合と違い『一番最初』や同じ文字の連なりを気にしないのは
いくらなんでも無神経だと思います。
『○○感を感じる』なんてどうして平気で書けるのか理解不能。
『寝言を言う』『誤解を解く』は文字の連なりを避けるのが難しいでしょうが
『○○感』には『がある』『を抱く』『を持つ』『を覚える』『が生じる』など
いくらでも他の言葉で繋ぐことができます。
『感』を多用する人ほど感受性が欠落しているとしか思えません。
『修学旅行』は『する』だと変なので『行く』とするのが自然ですが
単に『旅行』なら『行く』よりも『する』のほうがスッキリします。
なぜわざわざ『旅行に行く』と書くのか。
確かに規則で固められた文章は読みづらくなるかも知れませんが
私は同じ文字を頻発されるほうが嫌です。
重言に気を付けるというのは歯磨きや衣服へのアイロンがけと同じで
身だしなみの範疇だと私は考えています。
マナーやエチケットの意識を文章に対して持たない人が
やれ『言葉は生き物』だの『慣用されれば正しい』だの呆れます。
『○○感を感じる』は鼻毛に気付かないようなものです。
『防犯対策』は二重表現というよりも本末転倒な表現なのではありませんか。
例えば『節税対策』『節電対策』『耐震対策』の類。
対策するのは節税ではなく税金でしょう。
節電に対策したら電気消費量が上がります。
耐震ではなく地震に対策してください。
こんな風に言いたくなります。
『防犯対策』も規則で固められた文言は読みづらいから
敢えて矛盾した表現にしているとも取れますが、読み手の意識を強めるために
『節税』『節電』『耐震』という文字を入れているようにも見えます。
しかし注意をひくためにしても酷い。客をバカにしているのかと。
それと『なので』を接続詞のように遣うことが非常に気になりました。
『なので』を文頭にすればリズムが良くなると主張する人がいますが
それは錯覚であり甘えだと思います。
興味深いコメント、ありがとうございます。
文学に精通している方のご意見は勉強になります。
私も『オロチョンヘッド』さんのように、正しい情報が届けられるように精進したいと思います。
また何か、気になることがありましたらお知らせください、お待ちしております。